選挙に合わせて用意したオレンジのジャケットとランニングシューズで胆振、日高管内を津々浦々駆け巡る。選挙カーから降りると軽快なフットワークで聴衆に駆け寄り、足を運んでくれた一人一人と「ありがとうございます」とがっちり握手。初の選挙戦にも疲れの色を見せることなく、爽やかな笑顔で応じてきた。
9月29日に道9区支部長候補に決まり、瞬く間に衆院解散・総選挙になだれ込んだ。準備不足は否めず、政治の世界では実績も、知名度もない。さらに自民党派閥の裏金事件で、前支部長の堀井学元衆院議員が辞職し、厳しい目が向けられている。現職の道議をはじめ関係者でさえ、後任に手を挙げたがらなかった。無謀ともいえる挑戦だった。
ただ候補者の公募で「チャレンジせず、後悔したくない。誰でも手を挙げて」と聞き、立ち上がらない理由がなかった。松下氏は「これまでも条件が整っていることなんてなかったし、チャンスがあればつかみに行った」と振り返る。銀行勤めに区切りを付けて上京し、独立した時もそうだった。収入も人脈もない中、ゼロからキャリアを積み上げた。今回も選挙に合わせ、家族を連れて苫小牧に住居を構え、今月市民になったばかり。まさに「背水の陣」で挑む選挙だ。
都内でコンサルティング会社を立ち上げた若手経営者であり、2児の子どもの父親。「政治改革より重要なのは皆さんの暮らし、苫小牧の未来」と語気を強める。30代の子育て世代代表として「安心して子どもを作る環境をつくっていきたい」「皆さんの愛する苫小牧を守りたい」と訴える。残された時間で無党派層をいかに取り込めるか。「一人でも多くの支援をいただきたい」と若年層の投票を積極的に呼び掛け、地道に票の掘り起こしを進める。
主な公約
▽人手不足対策、1次産業や観光業の振興
▽半導体、脱炭素・新エネルギーをはじめとする先端技術への大胆投資
▽自然災害に備えた防災対策
▽子育て支援の強化、学校エアコンをはじめとする教育環境の整備
▽国家安全保障戦略に基づく防衛体制の整備、憲法改正の実現