除雪車両10台がまるで渡り鳥のように、雁行(がんこう)の隊列で進む。かなり前の話になるが、新千歳空港の滑走路で、除雪訓練を目の当たりにした。幅60メートル、長さ3000メートルの滑走路を素早く、くまなく除雪するための工夫だ。
運航時間内除雪は基本、2本ある滑走路の片方を閉鎖して除雪し、もう一つの滑走路は運航を続ける。これが降雪などが激しくなると、滑走路の同時閉鎖を余儀なくされ、欠航が相次ぐ。2016年のクリスマス前に3日間も滑走路が閉鎖され、1万人以上が空港に足止めされたことを、覚えている人は多いだろう。
空港の除雪作業や滞留者対策は、大雪事案が発生するたびに、教訓を生かして強化が図られてきた。11日は新千歳周辺も一時、降雪で視界がほぼ失われる状況だったが、滑走路を同時閉鎖させないように除雪が進んだ。それでも自然の驚異を前に、定期便118便が欠航し、約1650人が空港で一夜を過ごした。
除雪技術がいかに進歩しても、年に何度かは大雪に見舞われ、飛行機が離着陸できない事態も発生するのは、本道空港ならではの宿命だろう。無事故、無災害、安全・安心に空の旅が提供され続けるためにも、ある程度は温かい目で応援したいと思う。(金)