鳥インフル

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2024年10月19日

  日中と朝晩の寒暖差が徐々に大きくなってきた。日が暮れて辺りも暗くなる頃には、爽やかな空気が心身を程よく冷やしてくれる。耳を澄ませばはるか頭上から、「カハハン、カハハン」と野鳥の鳴き声。ウトナイ湖に立ち寄るであろう渡り鳥たちが苫小牧の夜空を行き交う。

   そんな季節の移ろいとともに、思わず気持ちが暗くなるニュースが飛び込んできた。17日に厚真町の農場で肉用鶏から致死率の高い鳥インフルエンザの感染が確認され、翌日までに全1万9781羽が殺処分された。命と向き合いながらの大変でつらい作業だったと察する。

   以前、別の農場を取材したことがある。中に入るため、専用の帽子やマスク、衣類などを着用し、ノズルから噴出する空気を浴び、靴を消毒液に付け、「コロコロ」を全身くまなく当てた。「食」を取り扱う現場は、できる限りの対策をしている。何かあれば動物が一番の被害者。誠実に対応している。

   鳥インフルは例年、秋から春に感染が広がるが、今年は過去最も早い発生だ。現場も、行政も、防疫作業の徹底に努めるが、感染拡大を完全には止められない。殺処分を最小限度にとどめる分割管理の推進など、政府も平時から危機意識を高めて臨んでもらいたい。    (金)

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