政治家と言葉

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2024年10月18日

  「政治家の私利心が第一に追求すべきものは国民の間からわき上がる信頼であり、名声である。そうでないならほかの職業にかわるがいい(中略)」。戦後の政治家、自民党の第2代総裁で言論人だった石橋湛山の言葉だ。政治家は、有権者の信託を得て、言論の府の国会で言論闘争に臨む。言葉こそ政治家の武器。

   選挙の舌戦が始まった。言葉と行動を信じることのできる人に委ねたい。委ねられる人物を見定めるのが選挙でもある。改めてそう言わなければならないほど、私たちは政治家の言葉と行動に裏切られてきた。見定めることはたやすくない。差別をあおったり、「反省」を口にする政治家なら、いとも分かりやすいが。

   どんな政治家を望むかは有権者それぞれだ。コラム子は、深刻な災害が頻発し貧困が拡大しているこの時には、人々の憂いに泣き、人々の喜びを自らの喜びとできる、庶民の心を自分の心とできるような人に政治を担ってもらいたいと思う。株価や平均賃金が上昇したと胸を張られても、地方で暮らし、中小企業に働く多くの人は食品や燃料の価格で経済を実感する。―ミクスも、―資本主義も、言葉が軽過ぎて宙を泳いでいた気がする。

   暮らしと今後に希望の灯火をともしてくれる政治家の言葉が聞きたい。(司)

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