厚真町の農場で飼育されている肉用鶏から致死率の高い高病原性鳥インフルエンザ(H5亜型)の感染が確認され、殺処分が始まった17日、町は防疫作業を進める道職員などが滞在する町スポーツセンターの一般利用を休止するなど、作業を円滑に進めるための支援をしている。地元の鶏肉を扱う小売店は動向を注視し、養鶏農家は安全な商品の生産に気を引き締めている。
町はスポーツセンターの一般利用を、発生農場内の鶏舎施設で清掃・消毒作業が終わる21日までの予定で休止とした。隣接するあつまスタードームは使用できる。同センターや車両の消毒ポイント3カ所には、町職員を調整しながら配置。殺処分終了後も埋却作業などの防疫作業が続くため、「道高病原性鳥インフルエンザ対策本部と連携しながら、収束に向けて対応していく」と説明する。
再発防止策としては、消毒の徹底や野鳥が施設に入りこむことを防ぐ啓発を、町内の家禽(かきん)農家に対して、農業関係団体とともに実施していく考え。
町産の鶏肉を取り扱う町錦町のAコープ厚真店は、仕入れに影響が出るのではと案じる。発生農場を中心とした半径3キロ以内の農場は「移動制限区域」、半径3~10キロ以内の農場は「搬出制限区域」とされ、鶏や卵を移動したり、区域外に運び出したりすることが禁じられている。解除は防疫措置を終え、清浄化確認検査で陰性が確認されてからになるため、担当者は「販売している肉は安全だが、移動や搬出の制限期間が長引くと影響が出るのでは」と見通す。仕入れ業者に問い合わせをしているが、具体的な情報は入ってこないという。町産鶏肉が入荷できない場合に備え、町外から仕入れることも検討しており、「消費者に安全な食材を提供し続けたい」と語る。
東胆振で養鶏業を営む男性(41)は、日々出荷する卵の衛生管理に努めており、発生農場をおもんぱかりながら「道や町役場など関係機関の指示を仰ぎ、安全な卵を販売し続けたい」と話した。