大阪ガス(大阪市)の子会社、Daigasガスアンドパワーソリューション(同)が厚真町と苫小牧市に計画する風力発電事業に関して環境影響評価準備書に記載した渡り鳥の定点観察の結果で、一部に別の調査で確認されたデータを使っていたことが16日までに分かった。別の調査によるデータでは風車への渡り鳥の衝突確率が低く示され、数値の周辺に別の調査によるものというただし書きもなかった。大阪ガス広報部は「多くの情報を示すため、別の調査で確認された渡り鳥のデータを載せた」と説明する。
準備書には、渡り鳥の定点観察を2021年春、22年秋、23年春と秋の4回実施したと記載。結果は21年春が1万8033体、22年秋が1441体、23年春が4282体、秋が3658体と示している。
定点観察期間外のデータとして、21年秋が563体、22年春が873体と載せているが、別の猛禽(もうきん)類調査をした際に確認された渡り鳥の調査結果の概要によるもので、これを定点観察のデータをまとめた同じ表に記載した。ただし書きも添えていなかった。
準備書では、渡り鳥の年間予測衝突数(由井モデル)も算出して紹介しており、ガン類は定点観察の22年秋が0・7178個体だが、21年秋は0・0000個体、同じく21年春が4・7016個体だが、22年春は0・8851個体と低い数値となっている。結果について同社は「準備書では渡り鳥への影響予測について、21年春の最も高い値を基に評価した」としている。
風力発電事業は、苫小牧、厚真にまたがる海岸沿いに風車を10基設置する計画で、最大出力は3万4390キロワットを予定。26年3月ごろに着工し、28年4月の運転開始を予定している。