衆院選道9区(胆振・日高管内)で舌戦を繰り広げる共産党新人の立野広志氏(67)、自民党新人の松下英樹氏(34)、立憲民主党前職の山岡達丸氏(45)。3氏に選挙戦で訴えたいことや争点、9区の課題や取り組み、「政治とカネ」の考え方を聞いた(届け出順に掲載)。
―選挙戦で訴えたいこと、選挙の争点は。
「争点は『地方を元気にできるか』。元地方議員として、地方を元気にする政治をしたい。道9区は自民党政治のゆがみが象徴的に表れている。列車がなくなり、バスも減便され、通院も不便になった方がすごく多く、地域のライフラインが壊されている印象だ。日高では日本海溝・千島海溝を震源とする大地震が発生すると、津波避難で山に向かえる道が海岸線の1本しかないところもある。能登半島地震もあっただけに、地域にとっては大きな関心事だが、道路整備が十分ではないところもある」
「漁業関係も昨年8月に(東京電力)福島第1原子力発電所からALPS(多核種除去設備)処理水の放出が始まって以降、噴火湾のホタテ養殖事業者は、今まで1キロ当たり300円だったものを、10分の1の価格でしか売れなくなったと聞いた。これは政治の責任だ。平和の問題でも、室蘭港と苫小牧港が『特定利用港湾』に指定され、日常的に自衛隊や米軍の艦船が利用できる状況になっている。胆振と日高が軍拡の重要な拠点になっている」
「保守層の中からも、特に事業をやっている方々からは、共産党に期待する声も聞く。大企業ばかりが優遇され、中小企業が犠牲になっているという話に、非常に共感してくれている。担当大臣でもあった石破首相の言う『地方創生』は言葉だけで、地方そのものは良くなっていない。地方が見放される政治を変えなければならない」
―9区の課題認識と取り組みたいことは。
「津波などへの災害対策や、地域の足の確保が課題になる。苫小牧市の有珠の沢で地域住民らと話した際には、地区からスーパーがなくなり、『買い物難民』になっているという話を聞いた。その地域で本当に暮らしていける環境をつくっていかなければならない。そのためには公共交通網がきめ細かく整備されている必要があり、交通事業者への支援も求められる」
「また、そこで働く労働者の賃金も引き上げたい。時給1500円を目標に取り組み、1日の労働時間が8時間から7時間に減っても暮らしていける賃金体系にすることが必要だ」
―「政治とカネ」について。
「共産党としてずっと言っているが、『裏金問題』や『金権腐敗問題』は、政党や議員が企業や団体から献金を受け取っているから起きる。個人からの献金とは違い、必ず見返りを求めている。まずは企業団体献金を禁止することが大事だ。今回の問題を通じて、自民党を除くすべての政党が廃止を言っている。他の政党とも(禁止で)合意できる」
「それに加え、受け取ったお金と使ったお金は明確にすべきだ。改正された政治資金規正法は(使い道を)10年先でないと公表しないと言っているが、ふざけている。10年先にいくら公表されても、罰せるのかと問われても時効になっており、罰する必要がないと言っているのと同じで、罰則規定も必要になる」
「『裏金』を受け取った自民党の議員の中でも、政治倫理審査会に出席して説明した議員はわずかだ。全員にさせる必要があるし、証人喚問もやらなくてはならない。問題が明らかにならなければ、改善や改革もない」