道庁本庁舎から北大植物園へつながる一本の道がある。樹齢を重ねた立派な木々が並ぶ。風もないだ、真夏のひどく暑い日でも、何故かあの道だけは涼しい風が吹き抜ける。個人的には「風の道」と呼んでいる。その風も秋の風に変わった。
そんな季節。首相就任日から戦後最短の解散・総選挙のゴングが鳴った。まだ夏の終わりの暑さが残っていた立憲民主党と自民党のダブル党首選から1カ月以上、政治取材に追われている。街頭取材では冬物のコートが必要になった。
自民党派閥の裏金事件による政治とカネの問題を受け、政治改革が最大の争点になっている。解散直前に札幌で開かれた道内6党の公開討論会でも、主要テーマとなった。自民党への逆風はやまない。一方で立憲民主党と共産党の候補一本化も成立しなかった。道内では全12小選挙区中、4分の3の9選挙区で両党が競合。共倒れも懸念され、裏金問題への「批判票」が各野党に分散する選挙戦だ。
小選挙区比例代表並立制導入以降、通算10回目の総選挙。小選挙区は政治への「風」が各党の議席を「オセロゲーム」のように激変する影響力がある。超短期決戦の今回はどんな風が吹くか。道内有権者の約4割が集中する大票田・札幌の街頭で、風の流れを見極めたい。(広)