能登半島北部を襲った記録的豪雨で、石川県輪島市内の小学校体育館などで避難生活を送っていた被災者が11日、半島中部の七尾市にある宿泊施設に2次避難した。断水や衛生面の問題などによる体調悪化を防ぐためで、市などが住民に意向調査していた。元日に発生した能登半島地震でも2次避難が実施されたが、豪雨では初めて。
県によると、2次避難が決まっているのは輪島市内の15世帯29人。このほかに同市内の8世帯17人が予定している。断水が続く珠洲市の一部地区でも住民への聞き取り調査が行われている。
2次避難を決めた大箱知治さん(73)は、元日の地震でも約半年間、県南部の加賀市へ2次避難を経験。その後入居した仮設住宅が大雨で被災したため、再び避難生活を送っており「避難所は狭い場所に大勢いて、風邪がうつるし、プライバシーも完全には保てない」と話した。
両親と兄の4人で2次避難先へ向かった60代の女性は「両親は高齢で足が悪く、避難所の外にあるトイレまで歩けない。簡易トイレを使わなければならず大変だった」と事情を明かした。滞在先は元日の地震で被災した休業中のホテルだといい、「行ってみないとどんなところか分からない」と不安も口にした。
一方、珠洲市・大谷地区も2次避難を検討中だが、希望者は今のところ多くないという。丸山忠次区長会長(69)は「ホテルや旅館も1週間、1カ月といるとつらくなってくる。ここにいられる限りはいたいという人が多い」と語った。
元日の地震では、2月のピーク時に約5200人が金沢市以南に2次避難した。県は2次避難先でも情報提供や健康管理の支援を行う方針で、馳浩知事は9日、「冬が来る前に元の生活に戻れるように対応する」と話した。