「遠い北極、なぜ観測?」「厳冬、豪雨、大気汚染…温暖化の『カナリア』」の見出しで7日付本紙に時事通信の配信記事が載った。海洋研究開発機構、北大や東大の研究者4人に取材していて、海氷減少と気圧配置の関係性やシベリアの森林火災発生の多さなどに触れ〈北極では地球温暖化の影響がほかの地域に先駆けて現れている〉として、学者らの解析への熱意もにじませる筆致で興味深かった。
「カナリア」はペットにもなる小鳥で美しくさえずるが、空気の「異常」に敏感に反応して鳴きやむ習性があることから、炭鉱などの坑道を先へ進む際に籠に入れられて運ばれ、有毒ガス検知のために用いられた。1990年代、猛毒ガスの危険性がある事件現場へカナリアが携行される実際のニュース映像も目にした。「人に危険を知らせる鳥」の代名詞だ。
若者がこの比喩表現を理解するのかふと気になり、身内の在京高校生に尋ねた。「炭坑で使われたことは知っていた」と応じ「そのニュースの文脈を知りたい」と関心を示してくれた。君はどんな将来の社会を望んでいるか、また尋ねてみようと思っている。昨日、衆院が解散されて総選挙が近い。これからを生きていく世代に何とか資するためにも、われわれ年配者には政治を選ぶ役目がある。(谷)