食品の値上げラッシュとなった10月。帝国データバンクの調査によると、単月の値上げ品目数は2911品目で今年最多。長引く物価高が家計を圧迫する中、本道はこれから暖房費がかさむ冬を迎える。価格高騰対策などを求める主婦の声は切実だ。
苫小牧消費者協会(山内幸子会長)によると、苫小牧市内の灯油価格は9月2日現在、1リットル当たり118・89円。前年同月と比べて6円弱下回ったが、この4年間で50円ほど値上がりした状態だ。経済産業省はガソリンなどの燃料油価格を抑制しようと、緊急避難的措置の激変緩和対策を継続してきたが、灯油価格は高止まりしている。
生活に役立つ知恵や情報を掲載する雑誌「婦人之友」の読者でつくる、苫小牧友の会の竹内二美代表(69)は40年以上付けている家計簿を見やって「ここ数年は燃料費がずっと高値」と嘆く。「買い物は自転車で近所のスーパーを利用している」とガソリン代を節約しているが、不安は募るばかり。
「物価の優等生だった卵も以前は100円台で買えたが、(今は)ずっと300円台。米も5キロで2000円台だったが、1000円ほど値上がりした」とため息。家計では収支を厳しく見積もりながら、急な出費にも備えているが「限られた生活費の中で国のような赤字予算を組めない」と生活防衛策に苦慮する。
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苫小牧消費者協会は昨年、国に物価高騰対策を求める署名活動を展開。道消費者協会が呼び掛け、全道で約1万4800筆が集まる中、市内ではその半数近い6776筆が集まった。同協会はガソリン、灯油、電気、ガスに関する激変緩和対策事業や必要な物価高騰対策などを求める要望書を、署名と共に政府に提出した。
山内会長(76)は「消費者が物価上昇にあえぎ、支援を切望する声が反映された」と当時の活動を振り返り、衆院選後にも「苫小牧市長に灯油、電気料金の引き下げを求める要請を行う」との方針を示す。現下の情勢を踏まえ、署名活動の年内実施も検討している。
10月の値上げラッシュに山内会長は「食料品だけでなく切手代まで上がった」と表情を曇らせ、「政府が実態経済を理解しているのか疑問」と憤る。衆院選でも経済対策を注目しており、「目に見えない部分で経済的に苦しんでいる人が多いことを分かる政治を」と求めている。