「内輪や仲良しグループの関係など、古くからの慣習があるから」―。自民党派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件に、党に携わっていた元関係者は厳しい視線を向けた。胆振、日高管内が思いがけなく「舞台」となる中、「政治とカネ」の問題の根深さについて語った。
裏金問題では、同党道9区(胆振・日高管内)前支部長の堀井学前衆院議員、安平町出身で元五輪担当相の橋本聖子参院議員(比例代表)が2000万円以上のキックバック(還流)を受け、党から役職停止1年の処分を受けた。
特に堀井氏は6月下旬に次期衆院選の不出馬を表明。その後、選挙区内で違法に香典を配布したとされる公職選挙法違反が明るみになり、議員辞職へと追いやられ、同法違反と政治資金規正法違反で有罪が確定した。
現職の事務所に家宅捜索が入るなど、異例の光景が連日のように報道され、元関係者も「私利私欲に使っていた部分はあるはず」と突き放す。仲間内で生まれる規制の緩さなど、カネを巡ってあいまいになっていた部分は否めない。
ただ、事務所の維持費や人件費などは必要で、「お金は確かに掛かる」「一般企業なら接待交際費でも、裏金(違法)と言われる可能性はある」と一定程度の理解を示す声も。「やった本人はもちろん悪いけど、トカゲの尻尾切りではないか」との見方もある。
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一方で「裏金に携わった人は、今すぐに退場して」などの批判のボルテージは冷めやらない。苫小牧地区労働組合総連合の横山傑議長も、国民の思いを代弁するように、一連の騒動に対する憤りを隠さず、「政治が特定の利益に左右されているのではないか」と問題の本質に言及する。
企業献金にも反対する立場から「(多額の寄付をした企業や団体が求める)見返りなどで多くの献金をする企業に寄っていくことが、結果政治をゆがめることにつながっているのでは」とも指摘する。
その上で「今のままでは仕事があっても、投資ができない中小企業を救えない」と、賃金の引き上げや中小企業支援の拡充を求める要望活動を展開。石破政権がこれらの問題にどう向き合うか注視する。
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石破茂首相は6日、世論からの強い批判を背景に、裏金事件で不記載があった議員らを、次期衆院選で比例代表への重複立候補を認めないほか、一部議員は小選挙区での公認もしないことを表明した。
同党苫小牧支部長の板谷良久道議は「当事者はしっかりと説明責任を果たさなければいけないし、党としても国民に理解してもらうことが必要」と危機感。国民の納得と共感を得られるか、審判が下ろうとしている。
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15日公示、27日投開票の予定となった次期衆院選。道9区でも事実上の選挙戦が繰り広げられる中、各課題について地域から問う。(全4回)