【ロサンゼルス時事】プレーオフが始まった米大リーグで、大谷翔平と山本由伸が所属するドジャースは4年ぶりのワールドシリーズ制覇を目指す。チームの指揮を執って以来9年連続でポストシーズンに臨むのがデーブ・ロバーツ監督(52)だ。
米国人の父と日本人の母の間に沖縄で生まれた監督。日本にゆかりがあるだけに、今季は大谷と山本が加入して「とてもうれしかった」と振り返る。「日本にいる親戚もドジャースの試合を見てくれていると思う」と話す。
米国育ちでほぼ日本語を話せないが、母を通じて日本人の勤勉さを知る。ドジャースでの現役時代に同僚だった野茂英雄ら日本選手が持つ高いプロ意識に触れた経験から、大谷らを信頼して調整を任せているという。
今季の大谷は開幕8試合本塁打が出ず、自己ワーストを更新。9試合目となったジャイアンツ戦前、監督は大谷に向け「自分らしくいれば、それでいい」と口にした。その試合で1号を放った大谷は「ああ言ってもらって、気が楽になった」。これが今季重ねた54本塁打のスタートだった。
監督の仕事とは、「選手が心地良くプレーできる環境を整えること」と言う。日頃から選手一人ひとりと意思疎通を欠かさない。大谷に関する質問を毎日のように浴びせる日米の報道陣に対しても、「翔平はわれわれの世代で最高の選手だから、聞きたいことがたくさんあるだろう。それに私自身、彼について話すのは楽しい」と理解を示す。
2016年の監督就任以来、毎年ドジャースをプレーオフに導いてきた。だが、充実した戦力を抱えながら頂点に立ったのは20年の1度だけで、評価が決して高くないのも確かだ。この秋は日本の2選手を大きな戦力にして、覇権奪還に挑む。