神奈川県からやって来た知人を連れて近郊の渓流に行くことにした。8月は水温が高く、夏枯れの時期なので釣果はあまり期待していない。
朝8時にJR千歳駅で知人と合流して車を西に走らせる。どんよりとした曇り空で気温はそれほど高くはない。途中のコンビニで昼食を買い込み釣り談議に花を咲かせ、あっという間に目的の川に着いた。先日の雨でドロドロになっている林道を走り抜けると、駐車スペースに先行者と思われる車が1台止めてあった。
いつもの源流釣りスタイルに着替えてタックル一式を背負い雑草が生い茂った廃道を歩き始めた。時々現れる真新しい熊の痕跡にビビリながら、速足で歩くこと40分。道路を横切る小さな沢伝いに本流へ下りた。
ここまで来ると先行者よりかなり上流にいるはず。迷惑にはならないだろう。記者は7・2フィート#2/3フライロッド、知人はベイトロッドをセットして釣りを始めた。ここのところの低温のためか水温はかなり低い。おそらく15~16度くらいではないだろうか。
いきなり知人のスピナーに20センチほどのイワナがヒットした。オレンジベリーがとても奇麗な魚体だ。目星を付けたポイントから小型だが必ずイワナやニジマスが飛び出してきて、とても楽しい。記者の#9フォームビートルにも果敢にアタックしてくるが大き過ぎるのでヒットには至らない。でも大きさを選んで釣りたいので、それでいい。
交互に先頭を変わりながら釣り上がって行くと水深50センチほどの瀬が出現した。前にいる知人が瀬頭に向けてルアーを投げた。そのままダウンに引くとゴツンとヒット。リールを巻いてネットに入れると突然、記者を呼んだ。行くとネットには見事なヤマメが入っていた。サイズは23センチほどだが体高がすごい。思わず写真に撮ってしまうほどだ。
しかしここからさらにすごかった。これを機に同サイズのヤマメがたくさん釣れだした。昨年までは小さな新子ヤマメしかいなかったはずだ。たった1年の大変化に驚きだ。フライの反応もとても良く、大きなビートルをがっちりくわえている。思いがけない釣果に、狭い谷間には歓声がいつまでもこだました。
(大中𠮷隆)