人は、私的な関わりの少ない事件の発生日時や意味などをどれだけ学び、記憶しているものだろう。アメリカの共和党の大統領候補であるトランプ前大統領が東部ペンシルベニア州で開かれた集会で演説中、ライフル銃で撃たれて、右耳に軽傷を負った13日に、確かめてみた。
新聞の報道や、岩波書店の「年表 昭和・平成史」を参考に自分の頭の中を点検して「何も記憶していない」ことに改めて気付かされた。例えば、アメリカでは1865年のリンカーン大統領から、1963年のケネディ大統領まで計4人の大統領が暗殺されているが、名前を覚えているのは前出の2人だけだった。
ケネディ氏がパレード中に銃で頭部を撃たれて死んだのは1963年、確か中学1年生の時だ。親に指示され家の周りの草取りをしていた。11月22日と年表。テレビで何十回となく録画が流された記憶はあるが、今は夫人の名や容疑者の名をかすかに思い出せる程度。翌年10月10日からの東京オリンピックや激しさを増すベトナム戦争、米ソの対立にすべて打ち消されてしまったのかもしれない。
武器や暴力に頼らない、選挙と投票による政治の実現を言うのはたやすい。安倍元総理が手製銃で銃殺されたのは一昨年。アメリカを人ごととは思えない。(水)