白老町唯一のカフェバーとして夜間も自家焙煎(ばいせん)コーヒーを提供している町大町3の「KAISER(カイザー)」。町内在住の飯島健さん(41)が1人で切り盛りし、お年寄りから働き盛りの若者や学生まで幅広い世代が集う。現在の経営形態になったのはコロナ禍がきっかけだったが「夜の喫茶店というイメージが定着し、知られるようになった」と話す。
カイザーは2010年4月、お年寄りの居場所になればと、日中営業のカラオケ店として開業したのが始まり。10年目の20年にコロナ禍が発生し、経営は苦境に立たされたが、人気だった自家焙煎コーヒーを主力とする営業スタイルへの転換を決断できた。
町内のまちおこしイベントにも積極的に協力し、屋台を出店するなどして常連客以外にも「カイザー」の名を広めた。最近は、口コミだけでなくSNSの評判も加わり、遠方から訪ねてくる人も増えた。
コーヒーは、ブラジルやグアテマラ、インドネシアなどを中心に各地の豆から浅煎り、深煎りと幅広い味わいを提供している。近郊のカフェ経営者の中には「飯島さんはコーヒーの先生」と慕う人も。ウイスキー、カクテルなどのアルコール類も扱う。
飯島さんは「(40代の)僕らの世代が頑張らないといけないという思いがある」と語る。来年4月で開業から15年。地域おこし協力隊員の町おこしイベントに協力を続けながら、もともとの常連客である「70、80代の皆さんのためにも店を続けたい」と意気込む。
札幌市から移住し、10年ほど通い続けている町川沿の島影京子さん(79)は「常連の人も初めての人も分け隔てなく接してくれた」と移住当時の不安が和らいだことに感謝し、「一期一会を大切にしてくれる人だと思う。居場所をつくってもらった」と話した。
10年の開店当時からの常連という町大町の清水理津子さん(72)も「客との距離感が程よくあって居心地がいい。出掛けた時はいつも友達を誘って足を向けている」とカイザーの魅力を語った。
営業時間は午後0時半~同3時半、午後7時半~翌午前0時。定休日は月曜日と第1・第3日曜日。