今回は尿検査についてです。健康診断の項目には必ずといっていいほど尿検査があります。それは尿中のたんぱくや糖などを調べ、さまざまな病気やその兆候を知ることができるからです。最も検査に適した尿は早朝第一尿の中間尿です。中間尿とは放尿の最初と最後の部分を捨て中間の部分を採取した尿で、尿道や陰部の雑菌の混入を防ぐことができます。
早朝尿は濃縮されていて、安定した測定が見込め、起立性の尿たんぱくを除外できます。起立性の尿たんぱくは若年者に多く、横になって安静にしている時は異常なく、起きて体を動かすと尿たんぱくがみられることで良性のたんぱく尿です。
健診時は任意の時間に採取した随時尿の中間尿を検査していますが、スクリーニング検査としては十分といえます。スクリーニング検査とは症状の現れていない人に対して病気を見つける目的で行う検査のことです。
尿検査は採取後4時間以内に試験紙法で測定します。困難な場合は専用容器に移して密栓し、室温で保存する場合は24時間以内、冷蔵で保存する場合は48時間以内に測定します。ハスカッププラザでは施設内の健診はすぐに検査していますが、巡回健診など会場で検査できない場合は密栓容器で持ち帰り、速やかに検査しています。
健常者では糸球体でろ過された糖は尿細管で再吸収されるため尿糖は陰性です。血糖値が高くなり(160~180mg/dl以上)、尿細管の再吸収能力を超えると排せつされるため尿に糖が出現します。考えられる疾患は糖尿病、腎性糖尿、膵(すい)疾患、肝硬変、甲状腺機能亢進(こうしん)症などです。腎性糖尿とは血糖値は正常ですが 腎臓の一部の機能が弱いために尿中に糖が出ている状態です。
尿たんぱくは過度な運動、精神的ストレス、多量の肉食、入浴後、月経前などの病的なもの以外でも陽性になります。陽性で考えられる疾患は慢性腎臓病、腎炎、尿路感染症などです。尿の検査項目として他には尿潜血が一般的です。
尿潜血は尿に赤血球が混入しているか調べるもので陽性の場合ぼうこう炎、腎臓・尿路結石、前立腺炎、泌尿器の悪性腫瘍、全身性疾患に伴う腎症などが考えられます。尿たんぱく・尿潜血がどちらも陽性の場合は腎のろ過機能の低下のサインです。慢性腎臓病などの重病のリスクがあります。まれに腎臓がんが見つかる場合もあります。
健診の一番の目的は病気そのものの予防です。自覚症状の無い病気を見逃さないためにも定期的に健診を受けましょう。そして健康診断で再検査や精密検査の判定が出た場合は必ず病院で2次検査を受けましょう。早期発見ができ早期治療につながります。