白老アイヌ協会(山丸和幸理事長)は5日、第21回アイ・オロ・オ・コタン先祖供養祭を白老町虎杖浜のポンアヨロ川河口のアヨロ海岸付近で行い、伝統の儀式で祖先をしのんだ。
同海岸の一帯には、縄文時代からアイヌの人々が暮らし、祈りの場に使われた丘カムイエカシチャシの近くにあるくぼ地オショルコッには、英雄オキクルミらが登場するアイヌ民族の伝承も残っている。
同協会は、毎年この地で儀式を執り行っており、今回は町や苫小牧アイヌ文化保存会、虎杖小学校の3~6年生、国際基督教大学(東京)文化人類学科の2、3年生ら計84人が参列した。
民族衣装に身を包んだ関係者は、同協会の新井田幹夫さんが祭司を務める儀礼カムイノミに臨み、神に感謝の祈りをささげた。この後、イナウ(御幣)を供えた場へ移動し、イナキビご飯やオハウ(サケの汁物)、果物、酒などを伝統の作法で供え、先祖を供養した。
儀礼を終えると、虎杖小の児童たちがムックリ(口琴)を体験したり、苫小牧アイヌ文化保存会の会員が古式舞踊を披露したりし、交流を深めた。
先祖供養の作法や呼び名は地域によって違い、白老地域では古くから「シンヌラッパ」と呼ばれている。アイ・オロ・オ・コタンはアイヌ語で「そこに矢が群在する村」の意味で、地名に残るアヨロの語源とされている。