新千歳空港に足を運ぶたびに、インバウンド(訪日客)の増加を肌で感じる。人手や航空機燃料の不足などの課題に直面しているが、国際線の旅客数は新型コロナウイルス禍の落ち込みから回復傾向が続く。長期滞在するインバウンドは、大きな経済効果も期待でき、観光産業のV字回復に欠かせない。活況が心強い。
一方、コロナ禍を経験した今、観光は水ものの印象が拭い切れず、対策の再構築が急務だ。人が来なくなるたびに、雇用や売り上げ、ひいては事業が不安定になれば、せっかく育てた人材や、整えた施設も、維持できなくなる。あらゆる業界で、人手不足に直面していることは、以前も当コラムで触れた。コロナ禍で打撃を受け、雇い止めなどをした企業が、とりわけ苦戦傾向に陥ってはいないか。
3日の道議会で鈴木直道知事が法定外目的税「宿泊税」の導入を目指すことを正式に表明した。宿泊者から徴収した税を、観光サービスの充実や強化、危機対応力の強化などに役立てる狙いだが、振り返ればコロナ前の観光施策はまるでバラ色だった。コロナ禍を教訓に、有事にどう備えるか。客がいなくなったときに、産業をどう支え、保とうとしているのか。道の役割や責務も、旗振り役として、しっかり打ち出してほしい。(金)