知床半島沖で死者・行方不明者26人を出した観光船「KAZU 1(カズワン)」沈没事故で、乗客14人の遺族ら29人が3日、カズワンの運航会社「知床遊覧船」(オホーツク管内斜里町)と桂田精一社長(61)を相手取り、約14億9900万円の損害賠償を求める訴訟を札幌地裁に起こした。
事故は2022年4月23日午後に発生した。乗客と船長ら計20人の死亡が確認され、乗客6人が行方不明のままとなっている。
昨年9月に運輸安全委員会が公表した最終報告書は、船首甲板部のハッチからの浸水が沈没の直接的な原因だと結論付けた。運航会社による船体や通信設備の整備も不十分で、「安全管理体制が存在していなかった」と指摘した。
事故を巡っては昨年、死亡した甲板員=当時(27)=の両親が運航会社と桂田社長のほか、国と日本小型船舶検査機構(JCI)に賠償を求める訴訟を東京地裁に起こしている。第1管区海上保安本部は、業務上過失致死容疑などでの立件を視野に桂田社長の捜査を続けている。