白老町石山出身で札幌市在住の看護師、須貝夢乃さん(28)は12日、茨城県神栖市の神栖済生会病院が医療従事者向けに同病院内で開く「チーム・コミュニティナース(コミナス)育成講座」で、自身が白老で続けるコミナス活動について講演する。北海道での同活動の様子を知りたいという同病院の依頼に応じた。須貝さんは「現状を伝えるとともに、神栖市からも学び、今後の活動に生かしたい」と意欲を話す。
コミナス活動は、住民の集まる場所に出向き、相談に応じて心身の不調の兆しに早期に気づき、健康維持を支援する取り組み。須貝さんは2021年8月から、札幌市内の病院に勤める傍ら、祖父母が暮らす町虎杖浜地区の日帰り温泉施設「アヨロ温泉」に月1回ペースで出向き、利用者の健康相談に対応している。
講演を依頼した神栖済生会病院は、神栖市の中でもへき地の鹿行(ろっこう)地区にあり、若い労働者が多い工業地帯、高齢者の多い地域、子育て世帯が集まる地域に分かれる特色を持つ。全国的に見て医師が少ないとされる茨城県内では慢性的な医師不足に悩み、医療現場の課題が山積していることで他地域より官民連携での医師の育成が進み、コミナス活動も盛んだ。
同病院の医師は今年3月、白老町のNPO法人ウテカンパが主催した地域医療勉強会にオンラインで参加。現地の医療について講演した。この際、参加していた須貝さんに講座での講演が打診されたという。
須貝さんは当日、「アヨロ温泉でのコミュニティナース実践談」をテーマに、自身の活動内容や今後の課題、展望を語る。住民との交流、コミナス活動への理解の広がり、成り手不足などについて伝える考えだ。現地には前日入り、市内を見学して地域医療の先進事例を学んだり、現地のコミナスと交流したりすることを考えている。
講演について「自分がしてきたことを聞いてもらえる場を設けてもらい、光栄。将来的には白老町全域に理解の輪を広げ、町民がいつでもコミナスに相談できる環境を整えたい」と目を輝かせている。