白老中学校(前田道弘校長)の吹奏楽部が、今年度で廃部することになった。部員は3年生4人が引退すると、1年生2人となり、合奏スタイルを取れなくなってしまうことなどが理由。28日午後2時から町中央公民館講堂で開く第36回定期演奏会が最後の定演となり、同部のOBやOGも加わって合同演奏を披露する。
同部には40年近い歴史があり、2017年の同校70周年記念行事では記念演奏をして場を盛り上げた。定演の開催は1988年に始め、コロナ禍も毎年欠かさず続けてきた。
廃部は、昨年度に3年生3人を送り、今年度の3年生が引退するとコンクールの出場要件を満たせなくことから、地域移行の可能性を残しつつ総合的な判断により、今春決まった。来年3月までの活動とし、部員たちは部長や代表などのリーダーを置かず、顧問の佐々木香月教諭(55)の指導を受けながら、それぞれ力を合わせて練習を重ねている。
最後の定演については、廃部を知った2007年度卒業生で東京の映像制作会社に勤める中谷公祐さん(32)が、「白中吹奏楽部の大団円を盛大にしたい」とOB、OGも出演することを提案。6月中旬までに学校や現役部員らの承諾を得て、OBらに参加を呼び掛けた。
当日は3部構成とし、第1部と第2部は現役部員がクラシックとポップスを演奏。第3部はOB、OG約35人が加わり、計11曲を披露する予定。
3年生のクラリネット担当、中居陽菜さん(14)は「廃部は寂しいけど、定演ではいろんな人に演奏を聞いてもらえる。たくさんの方に来てもらいたい」、ホルン担当の芳賀胡々菜さん(14)は「自分たちの代で最後になるプレッシャーはあるけど、幅広い年代に演奏を楽しんでほしい」と話す。佐々木教諭は「地域に支えられた歴史ある部。最後に恩返しできるよう心を込めた演奏を届けたい」と語っている。
同部は6月29日、町子育て支援センターでミニ演奏会を開き、乳幼児と保護者ら約30人を前に5曲を演奏した。同センターを運営するNPO法人お助けネット(中谷通恵代表)が、乳幼児に音楽を身近に感じてもらおうと07年から定期的に開いており、廃部を知る中谷代表(63)は「部員は、このセンターに通って来た子どもたちでもある」としみじみと語った。同法人のスタッフで町東町在住の野本あゆみさん(42)は「自宅が中学校に近く、練習の音を聞けなくなるのは残念。定演にはぜひ行って応援したい」と話していた。