安平町の遠浅公民館で6月29日、コンサート「~巡歴~一度は生で聴きたいピアノ名曲」(実行委員会主催)が開かれた。事故で右腕を負傷した旭川市出身のピアニスト森永治之介さんは、左手のみで10曲を披露し、町内外から訪れた約80人が惜しみない拍手を贈った。
同実行委は2017年から22年まで、「ベートーヴェンのピアノ・ソナタを聴く会」として森永さんを招いた演奏会を開き、約6年がかりでソナタ全32曲を聴いた。来場者から「他の作曲家の曲も聴きたい」との声が上がり、形を替えて今回のコンサートを企画していた。
森永さんは22年冬に負傷し、予定が約1年延びたが、この日は「左手のための2つの小品 作品9」や「シャコンヌ ニ短調」などを、片手とは思えない鍵盤さばきで華麗に奏で、聴衆を魅了した。森永さんは「体のバランスの取り方が両手の時と違うが、多くの方から『感動した』と声を頂いてうれしい」と笑顔を見せた。
同実行委の實吉智子会長(81)は「今回が新しいシリーズの1回目。今後4年ほどかけて、コンサートを開催していきたい」と話した。