硬貨に変わったり、デザインの変更でもう見ることのなくなった板垣退助の百円札や岩倉具視の5百円札、伊藤博文や聖徳太子の千円札などが、小さな写真で新聞広告に並んでいた。懐かしかった。色合いまで思い出せたのは百円札と5百円札ぐらい。たまに見た聖徳太子のおちょぼ口がかわいい。板垣さんの白ひげの量の多いこと。その金額で何を買ったのか、買えたのかは何も覚えていない。
7月3日に、新しいデザインの1万円札、5千円札、千円札の流通が始まる。20年ぶりの新札の発行だ。肖像画は1万円札が実業家の渋沢栄一氏、5千円札が日本初の女子留学生として渡米した津田梅子氏、千円札はペスト菌発見などで知られる北里柴三郎氏。大ざっぱな肩書きや経歴紹介で申し訳ないが、関心は肖像画の主の事績よりも発行後―なのだ。
一国民として望むのは、3人が機嫌良く長く、手元に滞在してくれること。物価上昇は天井知らずだし、円安はどこまで続くのか。アメリカでは大統領選へ視界不良のテレビ討論も始まった。本紙のきのうの報道では、岸田首相は4日連続で党幹部や若手と腹探りの飲み会。支払いは内閣官房さん?。3人がゆっくりくつろげる時間は、どうも少なそうだ。改めて3人の肖像を見た。怒ってる。(水)