食い入るように実験の様子を見る女子中高生=さいたま市 理工系の学部を希望する女性は、男性に比べ非常に少ない。特に日本は国際的にも非常に低い。この現状を打破しようと近年、大学側が女子中高生向けに、理系分野の研究の面白さを伝えるイベントを開催するなど、力を入れている。
埼玉大は、4年前から女子中高生向けの「サイエンス体験スクール」を実施。教授らが実験を披露しながら専門分野を解説したり、大学院生と交流する機会を設けたり、保護者に理系学生の生活や進路などについて説明したりする。
昨年12月には、宇宙、高分子、生態系などのテーマで講座を開き、27人の女子中高生が参加した。高校2年の柳田姫風さんは理系コースを選択したが、その際教員から成績の良い文系を勧められたという。「実際に女子学生が楽しく研究しているのを見たり、何事にも興味を持つことが大切だとアドバイスをもらえたりして、理系に進むモチベーションが上がった」と笑顔を見せる。
母親の三穂さんは、自身も理工学部への進学を希望したが、親から反対され断念した経験があり、「娘には自分の興味のあることをやらせてあげたい」と話す。
埼玉大は、科学技術振興機構(JST、同県川口市)の助成を受けて活動している。今年度は、計17の大学と高等専門学校がJSTの支援を受けた。
これら大学の企画には▽近隣の企業と連携して、理系の女性社員の働き方を聞く(岐阜大)▽約2000種を保有する薬用植物園を散策する(熊本大)―など、理系の楽しさや将来像を伝える企画が多いという。