新型コロナウイルス感染症の流行中に米国とメキシコは国境を閉鎖したが、国境付近の都市では違法薬物の購入や使用を目的とした往来が続き、エイズウイルス(HIV)感染症が広がった可能性があると、両国の共同研究グループが発表した。
研究グループは、国境閉鎖中の2020年10月~21年10月に(1)米国から越境しメキシコで違法薬物を使う206人(2)米国に住み薬物を使う204人(3)メキシコに住み薬物を使う202人―の計612人(年齢中央値43歳)を対象に聞き取り調査を実施。また、6カ月ごとに血液検査を行い、HIV陽性者のウイルスを遺伝子解析した。
分析の結果、追跡期間中に9人がHIVに新規感染していた。両国の感染者集団で共通のウイルスの遺伝子配列が見られ、研究グループは「国境閉鎖中でも性交渉や注射器の共有を通じ感染が拡大した可能性がある」としている。
(メディカルトリビューン=時事)