50人余りが歌詞カードを見詰め、懐かしいハーモニーを響かせた。昨秋札幌市内で開かれた出身地の「ふるさと会」に初めて出席した時のひとこま。
歌ったのは、当時通った小学校と中学校の校歌だった。参加者のほとんどが65歳以上、圧倒的に70代が多い。卒業から半世紀を過ぎても歌詞を見ればすぐに口ずさむことができる。二つの校歌をそらんじられる人も少なくなかった。年を重ねて多くの記憶があいまいになるのに、小中学校で過ごした当時の思い出は不思議と脳裏から離れない。学校の存在の大きさを思い知った。
空前の少子高齢化は、地域の学校の存在を危うくしている。近年児童生徒数の減少と学校の適正規模の確保を理由に、近隣校との統合や小中一貫校に移行するケースが目立つ。学校施設維持のための財源的な課題もあるのかもしれない。
ただ、適正規模の確保は、大規模校から分離する場合の一つの目安、小規模校の統廃合に当てるのはいかがなものか。小規模校の教育環境はそれほど悪いとは思えないし、むしろ少人数教育の優位性も指摘される。ICT(情報通信技術)導入が進み、学校教育の考え方や仕組みも従来と変わってきている。地域で学校機能が果たす役割を大切にしたい。(教)