どのような場合に「水虫」を疑って医療機関を受診することになるのでしょうか。
足指の間、足裏にかゆみが出た場合や、市販の塗り薬で効果がなく、逆に悪化した場合でしょうか。足の皮むけや水膨れが家族にうつらないか、心配になって受診されることも多い印象です。「かゆくもないが、家族に受診を勧められて」と不満そうな方や、糖尿病の患者さんなどで細菌感染症が重症化しないようにと主治医から皮膚科へ紹介される方もいらっしゃいます。
問診では、経過、治療歴(特に抗真菌薬の使用歴)、どのくらいの時間靴を履くか(安全靴、長靴を含む使用状況)、家族の足白癬(はくせん)の有無、体の他の部位にかゆみがあるか_などをお聞きします。
そして症状のある所に菌がいるか真菌検査を行い、見つかれば白癬と診断します。医療機関を訪れた自称水虫の患者さんの約3分の1には白癬菌が見つからず、他の疾患だったとの報告もありますので、とても大切な検査です。
皮膚科外来の真菌検査では、患部のむけた皮やはがれかけたあか、濁った爪などの一部を頂いて顕微鏡で観察し、菌の有無を検査します。痛みはありませんので心配ご無用です。外来に顕微鏡があれば、その場で結果をお伝えできます。少し詳しい検査として、菌を培養する検査や、爪では白癬菌の抗原検査を行う場合もあります。
足白癬は、かぶれ(接触皮膚炎)、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)、汗疱(かんぽう)など多くの皮膚疾患と、見た目はほぼ同様の症状を示しますが、治療法はそれぞれ違います。爪では変形や濁りの半数は爪白癬によるとされていますが、残り半分は異なる原因によるものです。
したがって治療に先立って、真菌検査の技術を持った皮膚科専門医などを受診することが望まれます。(望月隆・金沢医大名誉教授。イラストはカモシタハヤト)