苫小牧の沿岸でヒラメが増えている。有料釣り施設として開放されている苫小牧港・東港の一本防波堤と周辺の海岸では昨年、釣り具店などが情報として提供するほどに釣れた。以前は、初夏にサクラマスを狙ったルアーでまれに掛かったという”うわさ”の域だったが、昨年はヒラメを狙って釣りをする人が見事に結果を出した釣果事例が相次いだ。今季も既に情報が届き始めている。
道が1~12月でまとめている統計「北海道水産現勢」によると、最新データの2022年のヒラメ漁獲量は全道で853トン。このうち胆振は52トンで苫小牧の水揚げ量は12トンだった。ヒラメ産地の噴火湾は豊浦が10トン、伊達9トン。22年の数字で見れば苫小牧が管内最多だ。ちなみに渡島地方は長万部が20トン、旧八雲21トン。
もっとも10年前だと様子は全く違う。12年の水産現勢によると、苫小牧のヒラメ漁獲量は2トンだった。さらにさかのぼって07年はわずか1トン。苫小牧の海にヒラメの印象が薄かったのは当たり前だ。
30年ほど前、育てる漁業を志向する水産関係者がヒラメの稚魚を勇払沖に試験放流したことがあった。近年の漁獲増が海水温の上昇などと関係があるのかないのか気にはなるものの、適した環境になってきたのなら少し期待が膨らむ。(司)