安平町追分地区でワイン事業を進める自動車部品製造のダイナックス(千歳市)は、7月にワイナリーの起工式を行うことを決めた。外構や基礎工事の後、9月に建物の建設工事を本格化させ、2025年9月の完成、同10月のワイン醸造開始を目指す。ブドウは今年、町追分旭の畑に約1万5000本の苗木を植える計画で、15日に町民や来賓を招いて植樹祭を開催する。
ワイナリーの建設予定地は、道の駅あびらD51(デゴイチ)ステーションに隣接する社有地約3360平方メートル。建物は鉄筋鉄骨コンクリート造り2階建てで、延べ床面積は約780平方メートル。建設費は約7億円。屋根に太陽光パネル80枚を設置し、年間消費電力の約半分を賄う予定。1階をタンクや瓶詰め室などの醸造スペースとし、2階に売店を設置する。
生産量は25年の醸造分で年間約1万本、28年に同約5万本が目標。赤ワインと白ワインを生産し、販売先は今後調整するが、ワイナリーで直販を行う。価格帯は平均4000円ほどを予定しており、生産量の増加により価格を下げた商品も想定している。
ブドウ栽培は14ヘクタールの畑で21年に110本、22年に3000本、23年に1万1000本の苗を植えた。24年は5月上旬から苗を植え始め、今月中に約1万5000本を植える。15日は600本の苗を町民とともに植え、同社や町にとっての新たな産業の成長を願う。
現在、同社の従業員や札幌市の福祉事業所に通う利用者も協力し、1日約10人で苗植えや畑の雑草取り、不要な芽を摘むなどの作業に取り組んでいる。同社は新規事業の目的に収益の確保だけでなく、人材の育成を掲げており、応援で入る従業員同士がコミュニケーションを取り合いながら作業を進める姿も見られる。
同社ワイン事業室の高橋洋二室長(56)は「ワインが地域に認められる特産品となり、地域産業の発展に貢献できるよう努めたい」と話した。