白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)を運営するアイヌ民族文化財団(札幌市)は6日、差別のない共生社会の実現を目指す「ウアイヌコロ宣言」を発表した。財団として差別に反対する姿勢を毅然と示すことで、働く職員の心身を守り、安全で安心な就業環境の確保につなげる。
ウアイヌコロはアイヌ語で「尊敬し合う」の意味。宣言は▽多様な価値観を共有し、アイヌ民族の誇りが尊重される共生社会の実現▽アイヌ政策の「扇の要」であるウポポイをアイヌ文化の復興・創造などの拠点とし、差別のない多様で豊かな文化を持つ活力ある社会を築いていくための象徴とする▽個人や民族の尊厳を損なう差別や嫌がらせなどのレイシャルハラスメント(人種や民族、国籍への配慮を欠く言動)を許さない―としている。
宣言は、ポスターやチラシとしてウポポイ内や財団札幌事務所などに掲示する。また意識的か無意識かによらず、心ない言葉や無遠慮な質問で傷つき、ストレスを抱える職員もいるとして、財団は近く職員へのアンケートを実施。専門家による講演会や職員のグループワークも定期的に行いながら、具体的な対策を検討していくという。
2019年に成立したアイヌ政策推進法(アイヌ新法)の第4条は「何人も、アイヌの人々に対して、アイヌであることを理由として、差別することその他の権利利益を侵害する行為をしてはならない」とあるが、財団関係者は「法律以前に、そもそも民族差別やレイシャルハラスメントはあってはならない」と訴えている。
アイヌ民族への差別を巡っては昨年9月、札幌法務局が自民党の杉田水脈衆院議員の差別的なブログ投稿に対し、「人権侵犯があった」と認定した。杉田氏は認定後も、改善を求めるアイヌ民族の関係者に言及し、「日本に存在しない差別を話す人たち」などの投稿を続けていた。
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