むかわ町穂別の化石発掘体験用地で5日、町内で発掘されたカムイサウルス・ジャポニクス(通称むかわ竜)やモササウルスなどが生きていた約7000万年前の地層「函淵層(はこぶちそう)」の表土を除去する作業が行われた。町穂別博物館の恒例作業を今回は町穂別富内の建設会社、山越組(山越早苗代表)がボランティアで初めて手掛け、町内外から発掘体験で訪れる人々の作業をしやすくした。
町穂別博物館によると、同用地は主に町内の学校教育で化石発掘体験に活用されている。毎年春には、主に砂岩と硬度の低い礫(れき)岩で構成される函淵層の表面に、風化による土砂が5センチほどたまるため、同館の職員らが30年以上前から、春になるとポンプで水をくみ上げ、表面に放水して土砂を取り除いてきた。
山越組は、町が胆振東部地震から復興を目指し、穂別地区で博物館と温浴カフェの設置を進める復興拠点施設等整備事業1に関わっている。同館から昨年秋に同用地の土砂の撤去を打診され、快諾してボランティアで応じた。
この日、作業員は重機や車両が進みやすいよう、雑草を刈り取った後、ショベルカーとエアコンプレッサーを使用し、広さ約2500平方メートルの土砂を取り除いた。山越代表は「ぜひ協力したいと思った。来年も実施したい」と話した。
同用地は2013年から23年までの間に、発掘体験で43件、1179人に利用された。町内の児童生徒の学習に使われることが多いが、町外の教育機関や化石発掘体験ツアーによる利用もある。現場では、イノセラムスなどの貝類が発掘されるケースが多く、頭足類のアンモナイトもたまに見つかるという。
同館の桜井和彦館長は「水で除去するより、表面がきれいになり、発掘体験がしやすくなった」と感謝。「こういう体験をできる場所はなかなかなく、地域の子どもたちに町の特徴を知ってもらうことができる」と話した。