2 部員不足を乗り越えて 小野崎優監督インタビュー

  • 特集, 苫工100年 アイスホッケー部物語
  • 2024年6月5日
2 部員不足を乗り越えて
小野崎優監督インタビュー

  創部から100年を迎えた苫小牧工業高で、現在チームの指揮を執る小野崎優監督。2019年に赴任してからのチーム状況などを聞いた。

   ―過去5年の成績や状況について。

   19年はインターハイでベスト16、20年はベスト8。21年から昨シーズンまでは出場がかなわなかった。部の状況としては、部員数が8人と不足に悩む厳しい年もあったが、その後「苫工でホッケーがしたい」と入部してくれる生徒たちが入ってきてくれた。卒業生のアジアリーガーが、練習に参加してくれることもある。生徒たちはいい影響をもらっているし、刺激になっている。マンツーマンで指導や実演をしてくれたり、プレーを間近で見せてくれるので、生徒は目を輝かせて取り組んでいる。

   ―チームカラーについて。

   スタープレーヤーはいないが、一人一人が自分の役割を一生懸命果たそうとする。言われたことに対して少しずつ取り組んで行こうという姿勢を見せてくれる。明るく、怒られてもめげず、つらい陸上や氷上練習にも声を出して耐えている。教室を使ったウエートルームが校内にあるので、恵まれた環境の中でやれていると思う。

   ―部員不足の悩みは。

   どうやって打開するか―と苦労した。公立校なので、具体的な解決策はなく、体験会や学校の説明会で時間をもらってアイスホッケー部の話をすることくらいしかできない。ここ数年は以前、小学校チームで指導していた時期の子たちが入ってきてくれた。アイスホッケーだけでなく、「苫工で学び、資格の取得や就職を目指したい」という子たちが入ってくる。今後、上位を目指していくためにも、人数がいないと戦えない。

   ―帯広に遠征し、3地域の工業高で合同練習。

   他競技のような「工業大会」があってもいいと思い始めた。夏の選抜大会を終え、9月に毎年、帯広で合宿を行っている。苫小牧、帯広、釧路の3工業高が集まり、練習試合などをこなして切磋琢磨(せっさたくま)している。

   他地域での試合経験や戦い方、規律を学ばせている。コンディションの整え方や生徒同士のコミュニケーションなど、チームビルディングの基礎を構築する。

   ―レフェリー目線を生かして。

   苫小牧西高にいたころから15年ほどレフェリーもやっている。インターハイで他校のジャッジもするが、ルールをしっかり理解しておらず損をしている場面を目にすることもあるので、ミーティングの際には改めて細かな競技ルールも学ばせている。

   ―伝統校の今後のチームづくりについて。

   たまたま縁があって今、苫工で指導をしている。伝統あるチームに来れたことは、良いプレッシャーを感じながらも「古豪復活」を目指して活動している。そのために必要なことは取り組んでいきたい。ただ、アイスホッケーだけやっていればいい―という訳ではない。生徒たちが社会に出ても恥ずかしくないスキルや勉学、人として大切なことを伝えつつ、アイスホッケーではそれぞれの長所を伸ばしながらやっていきたい。

  ―プロフィル

   小野崎優(おのさき・ゆたか) 1975年5月19日生まれ。苫小牧出身。日新小の同好会で競技を始め、明倫中、苫小牧東高、早稲田大へと進学。釧路湖陵高定時制で教員人生をスタートし、同校のアイスホッケー部でコーチを経験。2007年から苫小牧西高で監督を12年務め、19年に苫小牧工業へ赴任した。

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