幸せへの合言葉 蒲原(かんばら) 亮平(りょうへい)

  • ゆのみ, 特集
  • 2024年6月4日
幸せへの合言葉 蒲原(かんばら) 亮平(りょうへい)

  8万回の「いただきます」をもっと価値あるものに

   私が3代目を務める有限会社蒲原水産の企業理念であり、私自身も人生で最も大切にしている人生理念です。

   近所に外食チェーンやコンビニが無く、海山問わず旬のものが容易に手に入る、人間同士の結び付きが良好な土地柄などのおかげで、幼い頃より丁寧で愛情のこもった食事を取り、これまでに豊かな舌の記憶を重ねてくることができました。

   幼い頃は、米国の肉は硬くて大味でまずい、中国の農作物は農薬だらけ、などの情報をよく耳にしましたが、大学生の時、米国で食べたステーキの肉質の良さ、海産物のおいしさ、初めて味わう調理法、味付けに非常に驚き、アフリカや中国の農作物、海産物のおいしさ、質の高さ、加工場の食品衛生基準の高さに衝撃を受けました。

   人間の一生のうちの食事回数は約8万回といい、一見多いように見えますが有限です。これまでの固定観念を払拭して食べず嫌いを無くし、生産者の思いに触れ、丁寧な食事を心掛けることで、大切な食事の価値を高めることができる。このことを教えていくことが私の使命であると考えます。毎日忙しくて食事にかける時間や手間は無いと思われる方もいるでしょう。そんな時は一汁一菜でもよいのです。毎回だしを取れとも言いません。時間を15分捻出するだけで温かい食事を大切な家族と召し上がることができる。きょうあったこと、好きな食べ物、あすの献立、そんな他愛もない話に包まれる空間にこそ幸せを感じることができます。

   「いただきます」は幸せへの魔法の合言葉です。

  (蒲原水産社長・白老)

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