エゾシカ

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2024年6月3日
エゾシカ

  体形の維持を兼ねて最近、歩く量を意識して増やしている。もともと犬を飼っていた約1年前まで、散歩を朝晩欠かしたことがなく、そこそこの運動量を確保していた。ペットロスを口実に散歩もやめ、負担は減ったが体もなまった。そんなわけで天気の良い日に限って、近所を黙々と早歩きするようになった。

   平日は早朝か夜間だが、毎週のようにエゾシカを見る。記者の自宅は山に近い住宅街。空き地で10頭程度が群れている日もある。数十メートル先の距離で、立派な角を持つ雄が、首をまっすぐ伸ばし、こちらをじっと見ていたこともある。さすがに勝てる気はせず、そっと退散する。

   苫小牧市でもエゾシカの縦横無尽な行動ぶりが目立つ。市立病院前や王子製紙苫小牧工場付近は、記者も出没スポットと錯覚するほど何度も見ている。夜間に三条通沿いで悠々としている姿に出くわしたこともある。人も、シカも、お互い、慣れ過ぎてはいないだろうか。

   エゾシカ対策を巡っては、市や関係機関が昨年、円卓会議を立ち上げるなど、知恵を絞って強化している。シカによる交通事故や農業被害も増える中、シカがなぜ生息域を広げ、人間の生活圏に入り込むのか、その環境の在り方も含め、市民も向き合う必要がある。(金)

過去30日間の紙面が閲覧可能です。