同級生が社会人としてバリバリ働いていたり、子育てをしたりしている中、10年ほど遅れて大学へ入学した。紺やグレーのスーツを着た18歳の新入生が入学式の会場へと向かう中、真っ白いスーツを着た私は保護者席に案内された。予想を裏切られる大学デビューとなった。
給食が楽しみで学校に行っていたような小学時代から、部活動や学校祭に汗を流した中高校生時代まで、「勉強」は常にさせられる苦行だった。ところが、大学で受ける日本語教育の授業では目からうろこの連続で、気が付けば、のめり込むように勉強していた。何より、学ぶことを心底楽しいと感じていることに自分が一番驚いた。
楽しい時間はあっという間に過ぎ去り、卒業後の進路を決める時期がやって来た。新聞記者になりたかった私は、とある新聞社のインターンシップに参加した。しかし、「うちは新卒でも30歳以上の人は採らないよ」と言われ、その瞬間、夢は断たれた。大学生活最大の予想外だった。
時を経て、再び予想外の出来事が起きた。それは、こうして新聞にコラムを書くことになったことだ。たった一人の新聞社の社員の一言で私の人生は大きく転換したが、書く機会を得た今は少しだけ願いがかなった気がする。
日常は思い通りにはならないけれど、突如として面白い予想外がやってくる。これからの1年間、日本語教育や多文化共生の話と共に、そんな話ができればと思う。
改めまして、よろしくお願いいたします。
(HISAE日本語学校校長・苫小牧)