卓球台の面から4.2センチ上に張ったネットの下を金属球が入ったボールを転がして打ち合うパラスポーツがサウンドテーブルテニス(STT)。パラリンピック競技には選ばれていないが、国内では2004年から20、21年を除く毎年、全国大会も開かれてきた。
STTの選手は基本アイマスクを着けてプレーするため、競技中は金属球の入ったボールの転がる音だけが頼り。ラケットは打球音が判別できるようラバーを貼っていない木製ラケットを使用し、卓球台も平坦で継ぎ目がなく、エンドラインとサイドラインにフレームが付いたSTT専用台となっている。
試合は11点制の3セット先取方式。審判の「プレー」の合図でサーブを打つ選手は10秒以内に「行きます」と宣言。返球者は5秒以内に「はい」と応え、サーバーは返事から5秒以内に対角にサーブを打つ。相手コートのエンドラインから60センチ前のラインを超えたボールが止まったり、フレームに当たってコートに戻ると自身の得点なる。ネットに触れたサーブボール、ラリーでネット上を通過するボールや台の外に飛び出したボールは相手の得点になる。
苫小牧市福祉連合会体育部長を務め、STT競技歴約25年の原谷実さん(75)は「ルールを覚えながら打つことは大変。相手との駆け引きの中で打ち返して点数を取って勝つとうれしい」とやりがいを語る。練習では健常者の力も借りるため「人と触れ合うこともできる」ことも魅力の一つ。「アイマスクさえすれば健常者でも大会に出場できるので、気軽に挑戦してほしい」と呼び掛けていた。
3月に市総合体育館で行われたとまこまいパラスポーツ体験会に参加した小学生の男子は「サウンドテーブルテニスをやったのは初めて。(周りが)暗くて恐かったけど、音を聞いて打ち返すとができた。楽しかったのでまたやってみたい」と話していた。
(連載は陣内旭が担当しました)