宿泊税

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  • 2024年5月27日
宿泊税

  道が導入を目指している法定外目的税の「宿泊税」をめぐる議論を注目したい。今月には苫小牧でも説明会が開かれたが、出席したホテル旅館組合からは反対の意見が寄せられた。道がこうした意見にどう向き合うのか、冷静に見極めたい。

   今回の新税は「観光振興」が目的だ。計画によると、宿泊者から1人1泊100~500円を徴収する。宿泊料金によって税は違い、道は年間45億円の税収を見込んでいるという。

   ただ、苫小牧の説明会ではホテル旅館組合の関係者から異論が多く出た。観光客が少なく、ビジネス客が多くを占める苫小牧の特性を踏まえ、観光を目的にしない宿泊客に課税を求めることに不公平を生じるという意見だ。地域事情を考えれば、この意見は理解できる内容だ。

   道は地域の特性を生かした制度設計が必要だ。納得を得られない制度はやがて疲労を起こす。もう一度、立ち止まって見詰める努力がほしい。だからと言って苫小牧が「観光」に後ろ向きと見られるのは本意ではない。20年前に観光に関わる企画を行政に相談した企業が、「工業の街」と門前払いされた歴史がある。官民が観光に力を入れることに今は異論がないはず。胸を張って宿泊税を受け入れる。そんな時代を望んでいる。(昭)

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