日高山脈

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  • 2024年5月25日
日高山脈

  「日高山脈襟裳十勝国立公園」が来月にも指定されることが決まった。1987年指定の日高山脈襟裳国定公園の面積を、陸域だけでほぼ倍の24万6千ヘクタールに拡大。名前に「十勝」を加えた、道内7カ所目、国内では35カ所目の国立公園。名称に十勝を加えることについて大詰めで自然保護団体が「観光優先ではないか」と環境省の指定原案に反発していた。

   国立公園は「国を代表する傑出した風景地」だ。静内支局(当時)に異動した40年前のことを思い出す。地元山岳会のNさんやYさんに熱心に誘って頂き、転勤族の挑戦には難し過ぎる「奥深い山」日高山脈に何度か登ることができた。主峰・幌尻岳(2052メートル)ではエゾナキウサギのビデオ撮影に参加できた。本州からの参加者も多い、はるかなる山・ペテカリ岳(1736メートル)の町民登山会には裏方として参加でき、光栄だった。

   卒業した高校の校歌は、確か「日高山並み響(とよも)して」で始まった。校舎背後の山からは、主峰の頂上付近が見えた。胆振の東端からの借景だったのだろう。岳友たちは国立公園指定を喜んでいるだろうか。たくさんの笑顔を思い出す。「来た時よりも美しく」。当時覚えた動植物保全の指針も思い出す。指定を山脈保全の新しい一歩にしたい。(水)

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