安平町教育委員会は、子どももまちづくりの主体に位置付ける「子どもにやさしいまちづくり事業(CFCI)」の行動計画において、2023年度評価をまとめた。評価要素10項目に設けた計51の設問のうち、34問が特に良いとされる「◎」となり、全体の67%を占めた。一方、前年度と比較して特に良い評価の割合が低下した項目もあり、町教委は今年度、子どもの意見を聞きやすい仕組みづくりを目指す。
町は21年、国連児童基金(ユニセフ)が世界各国で取り組むCFCIの日本型モデルを推進する実践自治体として、日本ユニセフ協会が承認した国内5自治体の一つに選ばれた。CFCI実践のための行動計画を定めて計画を実行し、毎年成果を評価し、新年度に改善を図っている。
評価は▽子どもの参画▽子どもにやさしい法的枠組み▽子どもの人権を保障する施策―など10項目において計51の設問を設け、達成度別にそれぞれ「◎」、「〇」、「△」の3段階でチェックした。
◎の割合が増加したのは、子どもの権利の状況に関するモニタリングとデータ収集などをする「子ども報告書の定期的発行」の項目の設問で、前年度比34ポイント増の67%となった。一方、意思決定の過程で子どもらの声に耳を傾け考慮する「子どもの参画」の項目では前年度比14ポイント減の57%、町が独自に取り組む「当該自治体にとって特有の項目」では同20ポイント減の80%になるなど、3項目が前年度より減少した。ほか6項目の評価は前年度と同じだった。
23年度は、中学生がまちづくりに関して提言し、町がホームページで子ども向けのサイトを開設するなどの成果があった。評価が下がった項目について町教委は「アンケート調査などで子どもに直接意見を聞く機会が少なかった。自治体特有の項目は目標を改定した段階であり、いったん低下している」と分析した。
結果を踏まえ24年度は、10項目の「当該自治体にとって特有の項目」を、23年度の「遊びを通じた震災からの復旧・復興と、復興のシンボルとなる学校再建への着実な歩み」から「学校現場における子どもの権利教育(CRE)導入と、子どもの権利条約の制定」とした。胆振東部地震からの復興のシンボル「早来学園」が、23年4月に開校したことによる全面改定。CREの国内実践事例はほぼなく、町教委は同協会と連携し、日本におけるロールモデルをつくる考え。同条例の制定は町長公約であり、制定により子どもが意見を発表できる仕組みづくりを検討する。
町教委は「条例の制定準備を進め、子どもたちの意見を聞きやすい仕組みの確立を目指していく」としている。