心躍るシーズン (2) 「日本ダービー馬」懸け激突 3歳馬7737頭の頂点へ

  • エンジョイ競馬, 特集
  • 2024年5月24日
藤澤厩舎所属でダービーを勝ったレイデオロ
藤澤厩舎所属でダービーを勝ったレイデオロ
講演会場で笑顔を見せる藤澤和雄氏=2023年、新ひだか町
講演会場で笑顔を見せる藤澤和雄氏=2023年、新ひだか町

  競馬に携わるすべての者にとって、5月は心躍るシーズン。26日に、中央競馬(JRA)の第91回日本ダービー(東京優駿、1着賞金3億円)が東京競馬場で行われる。2021年生まれのサラブレッド3歳馬7737頭のうち、1頭だけに与えられる「日本ダービー馬」という名誉を懸け、18頭が激突する。

   世界でもダービーは特別なレースで、欧州では、競馬発祥の地イギリスで1780年に創設された英ダービーをはじめ、各国でダービーがある。米国では先日、日本馬フォーエバーヤングが3着に入ったケンタッキーダービーが知られる。中東のUAEダービーには近年日本馬が多く参戦している。国内に目を戻すと、北海道から九州まで全国に14の主催団体がある地方競馬でも主に5~6月に、「ダービー」「〇×優駿」という名称で実施されている。

   ダービーが目標とされる主な理由には、万国共通で最高の名誉とたたえられるレースであること、3歳時の1度しか出走できないこと、優勝すれば牡馬なら引退後の種牡馬入りがほぼ約束されていることも大きい。

   当然、その道のりは悲喜こもごも。苫小牧市出身でJRA通算1570勝を挙げた藤澤和雄元調教師の話を紹介したい。現在JRAアドバイザーとして講演などを行っており、その演壇でも披露されている。藤沢氏は調教助手時代にカツトップエース、シンボリルドルフというダービー馬に携わり、1988年に調教師になってからもバブルガムフェロー、タイキシャトルなど多くの名馬を育てた。そんな藤澤氏が管理馬でダービーを勝ったのは2016年のレイデオロ。調教師になって29年目だった。

   期待できる馬がいなかったわけではない。厩舎を開業し間もない頃、ダービーを意識できる馬が入厩しデビュー戦を勝ったがけがで出走がかなわなかった。数年後の2002年、意識できる馬が現れた。名前はシンボリクリスエス。前哨戦の青葉賞を武豊騎手を背に快勝。「ダービーを勝てるんじゃないか」と気持ち高ぶる藤澤氏に、武騎手の評価は「この馬、秋になったら良くなります」だった。果たして本番では2着。勝ったのは、武騎乗のタニノギムレット。シンボリクリスエスはその年秋に天皇賞を勝ちG1・4勝を挙げる名馬になった。

   2024年ダービー。不敗の3連勝で皐月賞を制したジャスティンミラノ、同じキズナ産駒の3戦3勝シックスペンス、牝馬レガレイラの参戦もある。心躍る瞬間まであと2日!

  (フリーライター・大滝貴由樹)

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