今回は健診の上手な受け方について書きます。健診を受けるに当たっては、相応の時間とお金がかかりますので、健診を有意義なものとするためには、まず健診案内に記載されている事項を熟読・厳守して健診に臨むようお願いします。事項が守られていない場合、予定されている検査が施行できないばかりでなく、特に血液検査では、絶食が不十分である場合に誤った判定が出ることがあり、その結果に従って事後措置が行われるからです。
次に医療機関に通院されている場合は、どのような病名で通院しているのかを把握しておいてください。病気によっては血液検査等で異常値が出た場合に、その病気によって起きる異常であるかも知れず判定が変わってきます。もし分からなければ、お薬手帳を持参することをお勧めします。内服されている薬が分かれば疾患を類推することが可能です。血圧についてはもともと変動が大きな検査ですので、自宅で血圧を測定されている方は血圧手帳を持参されることをお勧めします。
普段から健康に関して不安に思っていることをメモしておくことも大切です。健診機関によっては良い相談場所になることもあるでしょう。
健診終了後、要精密検査や要治療の判定があった場合には必ず医療機関を受診し、治療・通院が必要かどうか医師の判断を仰ぐようお願いします。図は厚労省が行っている受療行動調査(3年ごとに施行)の結果です。医療機関を初めて受診した人のうち、自覚症状がない人がどのくらい占めるのか? その人の受診理由を示したものですが、無症状にもかかわらず医療機関を受診する人は徐々に増えており、その受診理由の半数弱が健診の精査目的であることを示しています。
受診しても場合によっては通院不要との判断がくだされることもありますが、それは幸いなことと考え、健診を終えることができます。これを事後措置と言いますが、健診で最も重要なことは事後措置を確実に行うことにあります。これにより病気の早期発見ができたり重症化を防ぐことができますし、特にがん検診については事後措置が重要で要精密検査の結果が得られた場合、その多くはがんの可能性が疑われることを意味していますので、しかるべき医療機関でがんの可能性の有無をはっきりさせてください。
当センターでは、がん検診で明らかにがんが疑われるような場合には、ご本人に直接受診を勧奨する電話をし、併せて受診の有無を確認する追跡調査を行っています。命に関わる問題でもありますので肝に銘じておいてください。