むかわ町は17日、胆振東部地震からの創造的復興を目的に穂別地区で進める復興拠点施設等整備事業1の実施設計の概要を明らかにした。穂別博物館北側に新設する博物館の展示テーマを「歴史をつなぎ、生命(いのち)をつむぐ、地球物語」とし、展示には町の未来に思いを巡らせるような物語性を持たせる。同館と一体化させる温浴カフェでは温泉の源泉に町稲里地区の源泉を使用する。進ちょくは20日に町内で開く意見交換会で説明し、意見を受け付ける。
同日開かれた町議会の復興拠点施設等整備事業調査特別委員会(大松紀美子委員長)で、新博物館と温浴カフェのイメージ図と平面図、中心部に位置する旧自動車整備工場跡地に設置するまちなか交流拠点施設の平面図を示した。6月末まで実施設計期間のため、今後の変更もあり得るとする。
博物館と温浴カフェは、入り口を1カ所にする。建物の外観は化石が発掘された地層を表現した色調とし、天井に地場産木材の使用を想定した。
博物館の展示スペースは間仕切りをせず、開放感を演出。テーマは内容を将来にわたって高めていけるものにした。レイアウトには北海道大学総合博物館の小林快次教授が監修者として参加。町が保有する大型展示標本のカムイサウルス・ジャポニクス(通称むかわ竜)やティラノサウルスを中心に、町内で発掘された化石を展示する。恐竜が生きた時代や穂別地区の発掘の歩みを紹介し、来場者が町の未来に思いをはせるようなものにする。
温浴カフェには、浴室や脱衣所、厨房などを配置。浴室は床に石調タイル、壁に木目調タイルを使い、男湯と女湯で各10カ所程度の蛇口を設備する。レストランは約40席で、運営事業者では恐竜にちなんだ料理の提供を計画している
まちなか交流拠点施設は、穂別地区にあるモバイルハウス3棟と鵡川地区にある同ハウス7棟を合わせた建物。多目的スペースや子育て交流スペース、厨房(ちゅうぼう)などを配置する。子ども食堂などの地域活動、子育て世代の情報交換、子どもらの学習や遊びの場として利活用することを想定している。
建物の総事業費は18億5000万円と見込んでいる。温浴カフェは今年度、新博物館は2025年度に着工し、供用開始は温浴カフェを25年度、新博物館を26年度とする方針。
意見交換会は20日午後6時から、穂別町民センター多目的ホールで開く。申し込みは不要で、小林教授も出席する予定。町は「新しい博物館は、将来に向けて進化し続ける施設にするため、拡張性や可能性を持たせたい」と説明し、参加を呼び掛けている。