国道36号を車で苫小牧市から千歳市に走らせると、次世代半導体製造ラピダスの工場建設現場が、右手前方にいやがおうにも目に飛び込んでくる。工場の側面となる構造部分が姿を現し、クレーンが空高く伸びるように林立して周りを囲む。来年春の試作ライン稼働に向け、工事が急ピッチかつ順調に進んでいる。
先日、鈴木直道知事の視察があり、記者も現地を訪れた。2階建ての見学者ハウスが用意され、そこから窓越しに眺めるスタイル。中には完成予想模型が置かれ、工事のスケジュールも表にしてある。一端だけを触れると、至れり尽くせりの取材と、思われるかもしれない。
記者が建設現場に入ったのは都合3度。昨年9月の着工時はまだ野原だった。今年1月の報道公開は、降雪で視界不良。今回は知事の視察後に撮影を許可されたが、限られたエリアから窓越しで10分程度。過去に例がないといわれる工事のスピード感とは裏腹に、発信される情報の量は追いついていない印象だ。
世界でもまだ実現していない2ナノメートル(ナノは10億分の1)半導体の量産。前例のない事業に、期待は膨らむばかりだが、今後はさまざまな課題も出てくるだろう。情報を紙面で伝えられるよう、機会を捉えながら取材を進めたい。(金)