苫小牧市中学生主張発表大会(3) 優秀賞 「反抗」 苫小牧東中学校2年  早坂 優汰さん

  • 特集, 苫小牧市中学生主張発表大会
  • 2024年3月12日
苫小牧市中学生主張発表大会(3) 優秀賞 「反抗」 苫小牧東中学校2年  早坂 優汰さん

  「早く勉強しなさい」「部屋の片づけをしなさい」そう言われたら、どう返す。「はい」と従うか、「嫌だ」「後でやる」と反抗するか。

   僕は中学校に入学した当初から、何かきつい口調で言われたり、命令されたりすることが大嫌いだった。家では、まさに反抗期そのもの。学校では「そこら辺にいる、ごく普通の中学生」で、親には「猫を被(かぶ)る天才」と言われてしまった。そんな僕は、特に、母親とそりがあまり合わなかった。特に勉強のことに関してとやかく言われると、本当に腹が立った。自分の将来について、学業や成績のことについて、心配してくれている。そのことがわかっているから、やらなければいけないとわかっているからこそ、「そんなに言わなくてもいいじゃん」「分かってるから」、そんな気持ちが募り、やる気をなくす。すると、また言われる。これの繰り返し。母親は、僕のこんな気持ちも知らず、毎日毎日、毎日毎日、同じことを言う。その度にイライラして、ストレスが溜(た)まっていった。

   そんなある日のこと。いつもと同じように部活が終わり、帰路についた。友達と笑い話をしながら歩く。家に近づくにつれて、帰ったらまた何か言われるのか…と少し憂鬱(ゆううつ)な気分になりながら、玄関を開けた。自分の部屋でベッドに寝転がり、漫画を読む。だらだらとした、自分にとってはまるで天国のような、心地よい時間。だが、それは次の瞬間に崩れ去る。母親が部屋に入ってきて一言言い放った。「そんなに何もしないなら、明日から自分のことは全部自分でやりなさい」。何を言っているのかわからず、ポカンとしていると、母親は部屋から出て行った。

   次の日から、天国から地獄へと生活が一変した。掃除も、洗濯も、食事も全て自分でやることになった。それが何日も続いた。初めの頃は、出来ると自分に言い聞かせていたが、数日経つともうヘロヘロになっていた。想像していたよりも大変で、自分がいかに普段母親に支えられているかを痛感した。母親は、仕事と並行してこんなに大変なことをやっていたのか…。同時に、母親に感謝の気持ちが芽生えてきた。

   だから僕は、母親に自分の気持ちを伝えることにした。それからは、以前の生活に戻った。だが、ちょっと変わったことがある。僕の生活習慣だ。部活が終わり、友達と笑い話をしながら帰路につく。玄関を開け、夕食を食べて、それから、勉強するようになった。以前のように、だらけたり、なまけたりする時間が少なくなった。母親への感謝の気持ちが芽生えてから、時間を無駄に使うのが、なんだか後ろめたくなった。母親とぶつかることも少なくなった。

   この出来事を通して、わかったことがある。仕事もあるのに、様々な家事を効率よくやってのける親。それと合わせて、自分の子供の面倒も見る親。そんな親を見る我々(われわれ)の目は本当に正しいのだろうか。僕たちは、親がたくさんの愛情を注いで、一生懸命育ててくれたから今ここにいる。その愛情を見つめて、はね返すのではなく、受け入れることが大切ではないだろうか。

   最後に一言。「お父さん、お母さん、いつもありがとう。」

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