もうすぐ春がくる。もうすぐ楽しみにしていた旭川への旅。北海道出身の人を見つければ「旭川だとどこがおすすめです?」と聞き、隙間時間ができればネットで「旭川 温泉」「旭川 湖」「旭川 観光」などと調べ続けて1カ月。もはや行った気にすらなってきた。しかし、ふと気付いたのだ。車で遠出を、と思い富良野だ大雪山高原だと張り切って調べてきたが、旭川の3月は雪がまだあるのではないのか。
東京に住んでいると雪は降っても一年に一度くらいか。積もりそうになれば珍しく5分に一度は窓から外を眺める。なんとも幻想的な気持ちになりベッドに入る。都会ではご褒美のようにも感じる雪だが3月ということはあり得ない。と思い込んでいたが、今朝(8日)の東京は雪が積もった。これは月末の旭川だってきっと。
わたしは旭川の市役所に電話をし、3月にも雪が降っているものでしょうか、と聞いてみた。迷惑な都会人。すると、例年通りだと雪がある可能性が高いです、とのお返事。そうだったのか。スタッドレスタイヤで走ることもできるのだろうが、少々不安。今回は旭川市街で何かしらを楽しもうと作戦変更。歩いて行けるところで、まずはグルメ。
すると旭川名物「新子焼き」なるものが。手羽も含む若鶏の半身を素焼きしたシンプルで豪快な料理。幾つか見た写真は焦げ目の付いた焼き色が食欲をそそり、味付けは塩コショウなのか。それともポン酢なのか。味変しながらいただくものなのか。普段飲まないわたしだが、ビールを1杯と言ってしまいそうだ。
札幌に古くからの友人がいて旭川まで来てくれるという。もともとは三重出身。ヨーロッパへ住まいを移し、現在札幌在住。この10年札幌を離れないので、きっと居心地がいいのであろうと想像していた。そんな話を聞くのも楽しみで仕方がない。友人はジンギスカンの食べ過ぎだから他のものを食べたい、との希望があり、では新子焼きも食べられるお店をわたしがチョイスしますね、という約束になっている。
お刺し身もいただきたいし、ホッケ焼きも。となると居酒屋がいいかもしれない。今のわたしの頭の中の3割は旭川が占めているように思う。旭川は母が子どもの頃住んでいた場所だ。きっと昭和20年代の旭川の3月も雪が降っていたのだろう。あの頃の母を感じつつ、しばらくぶりの友人との再会が待ち遠しい。
(タレント)