美笛、冬の森 「シラッチセ」を探して

  • 支笏湖日記, 特集
  • 2024年3月8日
美笛、冬の森 「シラッチセ」を探して

 太陽の光の強さが日に日に増しています。辺り一面を覆う雪も太陽に照らされて徐々に消えていくのでしょう。真っ白な雪の世界に身を置けるのもあと少しです。

 この時期の森の雪面は堅雪になっています。日中解けて、朝晩冷えて固まる―を繰り返すと雪面はしっかり固まります。スノーシューを装着し森の奥へ行くなら一番良いコンディション。夏ならやぶこぎする場所も、今ならやぶは雪の下。どこへだって行けてしまいそうです。

 そんな今の堅雪の恩恵にあずかって、先日は美笛の森の奥まで探検に行ってきました。

 今回のハイクのテーマは、「シラッチセ」を見つけること。「シラッチセ」はアイヌ語で、「シラル(岩)」「チセ(家)」で岩屋や岩陰を意味しています。アイヌの人たちが狩猟に伴う野営地として、また儀礼をする神聖な空間として利用していた場所のことです。昭和50(1975)年代の調査では美笛の「シラッチセ」にヒグマの頭骨13体分、子熊のおりなどがあったとされていて、その場所を見てみたかったのです。道などはないので、辺り一面を雪が覆ってくれている今だけにできる探索です。

 雪解け水を集めた小川のせせらぎを聴き、はるか上を飛ぶオオワシの姿を見たりしながら進んでいくと、前方に、切り立った高い崖が連なっているのが見えてきました。立ちはだかる巨大な壁のようでした。あの崖の下のどこかにシラッチセがあるんだ! と気持ちが高ぶりました。

 斜面がきつくなり、さすがにスノーシューでは滑るようになったので、アイゼンに履き替えて、崖下に到着しました。「ここか、ここか」と推察しながら壁沿いを探しました。崖下に野営できるような空間がありました。「ここで先人は休んだかもしれない、ここなら風雪がしのげる」。想像しながら進むのは面白かったです。それらしいところは何カ所かありましたが、昭和50年代に確認された場所は見つけることができませんでした。でもアイヌの人たちの行動を想像しながら崖下を歩いたことは私にとって貴重な体験でした。

 雪が解けないうちに、もう一度探検に行く予定です。

 (支笏湖ビジターセンター自然解説員 吉田香織)

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