台湾東部の花蓮県秀林郷(しゅうりんごう)の役場職員による訪問団(団長・王玫瑰=ワン・メイクェイ=郷長、19人)が5日、白老町の大塩英男町長らを表敬した。同郷の公式訪問は、2022年8月に同郷と同町が友好交流推進協定を締結して以来、初めて。体調不良で欠席した王郷長に代わり秘書の潘美蓮(パン・メイリェン)さん(54)が、友好の印として同郷の原住民タロコ族の民族衣装などを大塩町長に手渡した。
秀林郷は台湾中央山脈の東側に位置する花蓮県の北部の村で構成された郷(行政区)。人口は白老町と同規模で、国から原住民と認定されたタロコ族が住民の9割を占める。
友好交流推進協定では、平等互恵の立場から教育、観光、産業など幅広い分野で交流することを取り決めている。白老町と台湾には民間主体で親睦を深めてきた経緯があり、同町は「国立の先住民族文化復興拠点がある白老と交流を深めたい」という秀林郷の提案を受けて協定を締結。先住民族間の交流を基に、自治体間で結んだ初の国際的友好交流協定となった。
訪問団は3日に来日し、函館市、登別市、洞爺湖町などの観光地を中心に見学。5日に白老に入り、民族共生象徴空間(ウポポイ)で伝統芸能や職員と懇談した。7日に帰国の途に就く。
表敬では、台北駐日経済文化代表処札幌分処の粘信士(ネン・シンシ)処長、白老アイヌ協会の山丸和幸理事長(75)も同席した。
同郷のタロコ族は今年、国から原住民に認定されて20年目の節目。3~12月に記念イベントを開催しており、潘さんは「白老と秀林郷は共に学び合い、国際的な認知を高めていきましょう。そのためにぜひ町長や理事長も秀林郷へいらしてください」と呼び掛けた。大塩町長は秋にも同郷を訪れる意向を示し「連携しながら交流を深めていきたい」と語った。
粘処長は「タロコ族とアイヌが手を取り合い、二つの地域を行き来する関係性が深まることを願う」と述べ、山丸理事長も「訪問を機に原住民と先住民間の人的交流が活発になれば」と期待した。