厚真町議会定例会が5日開会し、宮坂尚市朗町長が2024年度施政方針演説を行った。18年9月に発生した胆振東部地震から6年目を迎えることに対し、「持続可能な未来社会の礎となるゼロカーボンタウン、強靱(きょうじん)でしなやかな災害に強いまちづくりを中心に復興を進める」と述べ、「被災経験、記憶は時間とともに薄れ、風化するが、史実としての整理継承や防災、学術的分野の研究に資する環境を整えていく」との姿勢を示した。
宮坂町長は、ルーラルビレッジと新町パークタウン両地区の宅地耐震化推進、百年記念公園の導水管復旧後の景観再生、町道幌内左岸線の改築工事に取り組むことを表明。道が実施主体の治山事業については「災害復旧事業で計画している106カ所のうち着手済みは103カ所。本年度、残り3カ所に着手していく」と説明した。
また、地震によるストレス反応や暮らしの再建に苦しむ人がいることを指摘。「引き続き、個別の状況に合わせた相談体制の維持、心のケアや被災者に寄り添った支援を継続する」と語った。
1次産業では、新町地区に完成したデジタル園芸栽培施設で民間企業が1月からイチゴの育苗を始めていることに触れ、「木質バイオマスボイラーから排熱を活用したエネルギーロスの少ない栽培が行われている。6月ごろには付加価値の高いイチゴが出荷できる予定となっている」と期待を込めた。
23年4月末に上厚真のスーパーマーケットが閉店し、地域住民に大きな影響が出ている問題では、町が店舗を改修して運営事業者を募集するなど再開に向けた準備を進めていることを説明。「ゴールデンウイーク前後に、コンビニエンスストアとコインランドリーが併設してオープンする予定」と述べた。
庁舎周辺整備では、23年3月に策定した基本構想・基本計画で対象外としていた現庁舎の取り扱いについて、「24年度に耐震診断を実施し、一定の耐震と防水の改修を行えば今後50年程度活用が可能」と明らかにした上で、「現在リフォーム費用や維持管理経費などを試算しており、結果を踏まえて活用か解体かの方針を示したい」と話した。
定例会の会期は13日まで(14日は予備日)。