ウトナイ湖の冬彩るマヒワとベニヒワ

  • レンジャー通信, 特集
  • 2024年3月1日
ハンノキ類に集まるマヒワの群れ
ハンノキ類に集まるマヒワの群れ
 ハンノキ類の種子を採餌するベニヒワ
ハンノキ類の種子を採餌するベニヒワ

  冬のウトナイ湖では、厳しい冷え込みの中でも、餌を探して動き回り、懸命に生きる野鳥の姿を観察できます。ウトナイ湖周辺でよく見られる樹木のハンノキ類には、その種子を採餌(さいじ)するためにさまざまな野鳥がやってきます。その中でも、よく見られるのは、鮮やかな黄色の羽毛が特徴のマヒワです。マヒワは道内の高山で一部が繁殖し、冬に低地に移動するとともに、シベリアからも冬鳥として渡来します。

   今年は、マヒワの黄色い群れの中に紅色が目立つ野鳥が見られました。マヒワとは別種のベニヒワです。ベニヒワは雌雄ともに前頭部が赤く、ベレー帽をかぶったような姿が特徴的です。北極圏で繁殖し、北海道には冬鳥として渡来します。直近の5年間のウトナイ湖での観察記録では、ベニヒワは年に1回しか観察されておらず、中には観察されなかった年もありました。今年は、レンジャーが7回確認しており、例年と比較してもよく観察された年となりました。

   ここで、マヒワやベニヒワを見つけるポイントを三つご紹介します。一つ目は、湖岸に生育しており、観察路の途中のテラスでも見られるハンノキ類を探すことです。二つ目は、ハンノキ類の種子の食べこぼしを見つけることです。三つ目は、鳴き声に注意することです。マヒワとベニヒワは、飛翔しながら「チュイーン」と鳴くことが多く、鳴き声で存在に気付くことができます。

   マヒワは5月ごろまで観察された年もあります。三つのポイントを意識して、ぜひ探してみてください。観察の際は、厳しい寒さを乗り越えるために必死に餌を探す野鳥の行動を妨げないように、同じ場所で長時間観察を続けたり、群れを追い回したりすることは控えましょう。日本野鳥の会では、野鳥観察・撮影の初心者の方に向けたマナーのガイドライン=QRコード=を公開していますので、ぜひご覧ください。(日本野鳥の会ウトナイ湖サンクチュアリ・山口藍レンジャー)

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